三田の山には創業84年になる老舗の食堂がある。その名も「山食」である。
慶應の三田キャンパスにある山食は、数々の学生や教員たちの胃袋を満たし続け、卒業後も山食を訪れるというOB・OGも少なくないと言う。貸切のパーティなどで利用することもでき、野球部は毎年ここで納会を行なっている。

83年の歴史を感じさせてくれる
山食の味
山食の売りは、「安くて、うまい」こと。人気はカレーライス(330円)で、創業当時から変わらない味を守り続けている。固定メニューはカレーライスとカツカレー、若き血ラーメンの三つで、そのほかのメニューは日替わりとなっている。日替わりメニューは山食のTwitter(https://twitter.com/yamashoku_keio)で確認可能だ。※火曜日はカレーがハヤシに替わる。

カツカレー(530円)
ちなみに、筆者のお気に入りはカツカレー(530円)である。お肉と玉ねぎが入った濃い味のカレーは、しっかりとスパイスも効いていて日本の伝統的なカレーの味を教えてくれる。そのルーの上に乗ったカツはジューシーなロースカツで、サクッとした食感がたまらない。カレーと絡めて食べるのも格別である。その他の日替わりメニューも充実していて、毎日食べても飽きが来ず、お財布にも優しい価格設定になっている。
山食の危機
学期中は学生で一杯になる山食も、コロナ禍で苦境を迎える。授業がオンラインに移行し、学生・教員の数も一気に落ち込んだ。慶應生にとっての「第二の家庭」でありたいという信念のもと、一皿一皿の価格は安く抑えてたくさんの人に食べてもらうという経営方針の山食にとって、乗り超えがたい試練である。
その苦境を打開するために実施されたのがクラウドファンディングだった。2020年の12月から2021年の1月末までの約1年間実施され、目標金額は500万円に設定された。クラウドファンディングの情報は、卒業生を中心にSNS上で情報が一気に広まり、開始から数日で目標を達成。最終的には目標金額を大きく上回る4,300万円の寄付が集まった。塾生・塾員の結束力の強さを見せつける結果となった。
東京都では4/25から再び緊急事態宣言が発出された。大学側は対応を迫られている。これからから先、またいつ山食のカレーを食べられない日々に突入するかわからない。塾生として、これからも山食の変わらない味を応援していきたい。

伝統のカレーはレトルトでも売られている。