コロナ禍就活戦記② 大手アパレル企業内定者M・Sさん「就活における譲れない『軸』を決めよ」

 COVID-19、通称「新型コロナウィルス」が日本で認知され始め、はや1年が経とうとしている。新型コロナウィルスは、我々にとってのさまざまな「当たり前」を変化させたが、我々学生にとって大きく関係する「当たり前」は就職活動、いわゆる「就活」と言えよう。

 新型コロナの就活への影響は、今年限りのものではなく、少なくとも24卒までは尾を引く可能性がある。では我々はこの新型コロナと共に、どう就活を乗り越えればよいか。そのヒントを、今年就活を行い、内定を受けた今年度の卒業生から探っていこう。

 

 第2回は、慶應義塾大学文学部に所属するMさんだ。Mさんは、中高一貫の女子高から慶應に進学してきた、ごく一般的な慶應生だ。慶應にいる間に力を注いだところを伺い、「授業や専攻研究を頑張りました。」と遠慮がちに語ったMさんを見て、真面目な慶應生の鏡を見ているようだった。

 Mさんにとって、新型コロナの影響下での就活はどのようなものだったのだろうか。

「私は、就活を始めたのが去年の1月で、内定が決まった会社は3月からオンライン面接が行われ、会社に行くこともなく就職が決まりました。1か月と少しで、ES(エントリーシート)の提出から最終面接まで行われました。例年だと、こんなに早いことはないみたいなんですけど、オンライン面接が主流となった事で、一連の採用までの流れが速くなりました。だからこそ、面接の準備をスピーディーに行わなければならなかったので、そこが大変でした。」と語る。

 1社の採用の流れとして1か月で内定まで決まることは、今までの常識からすると、まさに「変化」ととらえることができるだろう。そのような「変化」に対応するため、Mさんはなにを意識し、就活に臨んだのだろうか。

「すごい外的なことになってしまうんだけど、ネット環境は整えておいた方がいいと思います。もちろん、双方に問題があってネット環境が悪くなることは希なので、面接官もある程度は大目に見てくれる印象ではありました。でも、明らかにこちらの準備不足でネット環境が悪くなったとみられる時には、マイナスの印象になってしまうと思います。」

 大学の授業を受けていても、ネット環境の不具合で授業の進行に支障をきたすことがある。それと同じように、電波状況の悪化や突然の音声不良などは面接官側も理解してくれるそうだ。しかし、入社したい会社であるなら、面接の準備だけでなく、オンライン面接における外的な準備も細部まで行うべきだろう。

最後に、どのように自分が入りたい会社を決めたのかを伺った。

「業界に揺るがないものがあったわけではないんです。二つのことを大切にして就活をしていて、1つが面接官や会社の方の『フィーリング』です。やはり、会社にどんな人がいるのかを知ることは、この先長くお付き合いしていく仕事先として、重要だと思います。2つ目が、自分になじみがある、生活に関係がある会社に入りたかったです。そのため、業界としてはアパレル以外にも、不動産業界なども(面接を)受けていました。」

 人が就活において大切にすることは、人によって異なる。Mさんの場合は、人の「フィーリング」や自分との関係性があることを大切にしていた。「最善の就活」を目指すことは難しいかもしれない。しかし、自分にとって最も大切な「軸」を就活において定義しておくことが、「最悪の就活」を回避する1つの方法であろう。新型コロナで会社を実際に見ることが難しい今だからこそ、「軸」を立てて企業を分析することが、後悔しない就活のためにより重要なるだろう。

文責:佐藤孝啓