塾生のためのコロナ禍における就職活動

 12月1日オンライン上で「塾生のための就職・キャリア オンラインセミナー」で開かれた。今回は低学年の学生のためのセミナーであった。コロナで不安を覚える学生も多い中、文化放送キャリアパートナーズの平野恵子氏より「現在の就職環境と今後の展望」について特別講演が行われた。

 平野氏の講演は、就職活動に関することは大きく分けて3つの構成をとった。1つ目はリアルな就職活動についてだ。現在、採用までの道が昔よりも多様化している。いい人材は時期を限定せず内定を出す「プレミアムルート」。インターンシップに参加し、企業が優秀だと判断した学生に対し3月に内々定を出す「インターンシップルート」。そして、3月から説明会や試験が開始する「一般ルート」など、就職活動による採用までの道は多岐にわたる。平野氏も「一本道ではなく、複線化している就職活動になっている」と述べている。

 また、20年卒までは売り手市場だったが、21年卒から明らかに買い手市場に転換しているという。理由としては、オリンピックの存在だ。オリンピック後どこまで経済成長するかわからない中、企業は新卒を多く採用する姿勢を自制するようになったとのことだ。日本はリーマンショックの影響で求人倍率が1倍を下回った経験をしている。そのため求人倍率1倍を下回ることは企業も避けるだろうとは予想される。だが今後皆が希望の職種につくことはさらに難しくなるだろうとのことだ。そのような環境で希望を通すために平野氏は「今後は採用ニーズの把握と事前準備が重要」であると語る。企業が何を求め、その姿に学生がいかに近づくことができるかがポイントになる。

 2つ目に新型コロナの就職活動に対する影響だ。平野氏によれば、コロナ以前の就職活動の状態に戻るには「2年から4年はかかる」らしい。つまり今在籍している塾生は皆コロナの影響の中就職活動を行うことになる。平野氏は「求人ニーズが低い業種は避けるべき」と語った。具体的には「航空」や「マスコミ」「アパレル」など、学生の関心が高い分野が求人ニーズが低くなっていると語る。また社会が不安定になると、食品業界が過剰人気になる傾向があり、今年はまさにその傾向が出た。もともと人気な業界だが、今年はさらに人気になり、希望者全体の2%のみが食品業界へと進むことができた。

 平野氏は「プランA、プランB,プランCを探してく必要がある」と語る。希望企業への就職を「プランA」、希望企業に関連する会社への就職を「プランB」、現時点では全く興味のない業界に目を向ける「プランC」と分け、「プランBとプランCを考えていくことが後悔しない就職活動につながる」とのことだ。プランCの探し方は「OB・OGの訪問」などが挙げられるという。コロナで学生の希望が通りづらい中、プランCの考察は学生にとって必須であろう。

 最後に3つ目はオンライン就活に慣れることだ。「リアルタイムWEB面接」では安定した通信環境の確保が重要だ。また自身の背景を変えることができる「バーチャル背景」の設定に注意を払いたい。特に友人とバーチャル背景で遊んだ後にWEB面接を行う時は、節度ある背景に戻しておかなければ一発で失格になる危険があるため注意したい。ほかにも「WEB用パワーポイント」や「Googleジャムボード」の使い方に慣れておくことで、オンラインインターンシップも円滑に進むとのことだ。これらの配慮はオンライン就活におけるエチケットになっていくだろう。

 コロナの影響は、今後の就職活動に間違いなく影響を与える。その中で、オンライン上での就職活動に学生は慣れることが求められる。想像とは違う就職活動に戸惑う塾生も多いと思うが、社会の変化に柔軟に対応できるよう努めていこう。